いじめと闘う校長 30年前の中2自殺
いじめと闘う校長 30年前の中2自殺 今に伝えるピンクシャツデー
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いじめや自殺は、私たち人類がいまだに克服できていない深刻な課題です。学校や家庭、職場などあらゆる場面で起こり得るこの問題は、被害者だけでなく周囲の人々、そして社会全体に長く重い影を落とします。残念ながら、「こんなに多いのか」と驚かざるを得ないほど、いじめや自殺の件数は後を絶ちません。それは、人類がまだ十分に成熟していないことの証かもしれません。しかし、ここで立ち止まるのではなく、未来へ向けて「どうすれば減らせるのか」「どうすれば防げるのか」を共に考え続けることが必要です。 「希望への対話」という名称には、絶望を語るのではなく、希望を育む対話を重ねる姿勢が込められています。いじめや孤立に苦しむ人々に寄り添い、小さな声を聞き逃さず、支援の輪を広げていく。その積み重ねが社会の風土を変え、誰もが安心して生きられる未来をつくる力になるのです。副題「―いじめと自殺の連鎖を断ち切るために―」は、決して他人事ではなく、私たち一人ひとりが関わり、共に連鎖を止める担い手であることを示しています。この問題を直視し、語り合うことが、人類がより優しい存在へと成長する第一歩なのです。
毎月27日前後をいじめに反対する「ピンクシャツデー」と定め、思いやりの大切さを子どもたちに伝えている学校がある。愛知県西尾市の市立八ツ面(やつおもて)小学校。提案したのは校長の今本政勝さん(58)だ。新人の頃に勤めていた小学校の男児がちょうど30年前、中学生になって受けたいじめを苦に自殺した。27日とは、その男児、大河内清輝さんの月命日だ。 【写真】「命を懸けて作った法律」 大津いじめ父の10年 「男の子がピンクの服を着たらだめなのかな」。進行役の教員がそう聞くと、体育館に集まった約560人の児童から「いい!」と元気な声が上がった。 26日の全校集会では、カナダで起こったピンクシャツ運動の始まりを教員たちが寸劇で表現した。ピンクの服で登校した男子生徒を他の生徒が「女の子みたい」といじめる。感想を聞かれた児童たちは次々と「男の子が可哀そう」と口にした。 今本さんが赴任した昨春以降、同校では毎月27日ごろ、主に学級ごとにいじめを予防するための取り組みを教員たちに呼びかけている。多くの教員がピンクのシャツや小物を身につけて登校し、心に響きそうな本を選んで読み聞かせるなど、それぞれ工夫を凝らしているという。 今本校長は「若手が中堅やベテランに相談するなど、職員室で学び合いが始まった。子どもだけでなく先生たちも育ってきている」と手応えを語る。 まだ新人の頃、市内の小学校で担任を務めた4年生の別のクラスに大河内さんがいた。顔をよく覚えている。亡くなったと聞いた時は「あまりのことに現実感が伴わなかった」という。 学校で役職に就くようになった15年ほど前から赴任する先々で、命日の11月27日に大河内さんの遺書の文面を全教員に配布している。「西尾の教員はあの事件を忘れてはいけない」と静かに話す。 「『ピンクシャツデー』を小学生には重い活動にしたくない」と言い、児童たちには27日がどういう日であるかは伝えていない。ただ、「人の嫌がることをしない、言わないことが当たり前になるよう、小学生のうちに土壌を育みたい」と願う。【永海俊】 ◇西尾市中学生いじめ自殺事件 1994年11月27日、愛知県西尾市の中学2年、大河内清輝さんが自宅の裏庭で自殺した。遺書には「いつもお金を取られていました」などといじめの実態が克明に書かれていた。県警は翌年、同級生4人を恐喝容疑で書類送検した。学校側は同級生との関係を巡り大河内さんの様子がおかしいことに気付いていたが、深刻に受け止めなかった。
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