社説[女性の自殺増加]構造的問題が横たわる(沖縄タイムス)

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沖縄タイムス

 コロナ禍で浮かび上がったのは、女性に深刻なしわ寄せがいくという社会の構造的問題だ。特にパートや派遣といった非正規で働く女性たちが追い詰められている。  2021年版自殺対策白書によると、昨年の自殺者数は2万1081人で前年より912人増えた。リーマンショック後の09年以来、11年ぶりに増加に転じた。  このうち男性は23人減って1万4055人、一方、女性は935人増の7026人だった。女性の増加が顕著で、全体を押し上げていることが分かる。  白書は「新型コロナウイルスの影響による労働環境の変化との関連が示唆される」と分析する。  女性の自殺を昨年1年間と過去5年平均で比較すると、職業別では「被雇用者・勤め人」、原因・動機別では「勤務問題」が最も増加していた。  女性に多い非正規労働者が大きな影響を受けていると推測される。  それを裏付けるのが総務省の非正規労働者調査だ。20年は前年から75万人減り、うち50万人が女性で影響が鮮明だった。  コロナで打撃を受けた飲食店や観光業に従事する女性が多かったということもあるだろう。非正規を対象とした解雇や雇い止めなど「雇用の調整弁」となっている実態も浮かぶ。休業を命じられたのに補償が受けられず、たちまち生活が困窮したという人も少なくない。  負担は、普段ぎりぎりの生活を余儀なくされている人々に重くのしかかっている。危機感を強め対策を講じる必要がある。 ■ ■  コロナが女性に与えた影響は、先に公表された21年版男女共同参画白書も指摘している。  雇用面では「女性不況」という言葉を使い、非正規労働者が受けた打撃のほか、ひとり親の苦境や貧困など「男女共同参画の遅れが露呈した」と分析する。  困窮女性の多くは一生懸命働いているのに、なぜ貧困なのか。  小さな子どもがいるため仕事の内容や時間が制約されて非正規で働かざるを得なかったり、男性の75%にとどまる賃金など構造的な問題が、働いても貧困から抜け出せない特異な状況をつくり出している。  コロナ禍で可視化された女性たちの「生きづらさ」といった現実を放置すべきではない。 ■ ■  政府は今月中旬にも、コロナ対応の大型経済対策をまとめる。  これ以上、女性たちを追い込まないよう現金給付など経済支援の拡充を求めたい。職を失った非正規の人たちへの積極的な就労支援も必要だ。  厚労省は、会員制交流サイト(SNS)などによる相談対応を強化している。相談しやすい環境づくりとともに、孤独に陥らせない居場所づくりも重要である。  新型コロナ特措法の付帯決議には「自殺対策を万全に講ずる」ことが記されている。そのことを重く重く受け止めてもらいたい。

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