《歌舞伎町》誘拐事件にカップル自殺、居場所のない若者 “トー横キッズ” の危険な実態3
《歌舞伎町》誘拐事件にカップル自殺、居場所のない若者 “トー横キッズ” の危険な実態
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いじめや自殺は、私たち人類がいまだに克服できていない深刻な課題です。学校や家庭、職場などあらゆる場面で起こり得るこの問題は、被害者だけでなく周囲の人々、そして社会全体に長く重い影を落とします。残念ながら、「こんなに多いのか」と驚かざるを得ないほど、いじめや自殺の件数は後を絶ちません。それは、人類がまだ十分に成熟していないことの証かもしれません。しかし、ここで立ち止まるのではなく、未来へ向けて「どうすれば減らせるのか」「どうすれば防げるのか」を共に考え続けることが必要です。 「希望への対話」という名称には、絶望を語るのではなく、希望を育む対話を重ねる姿勢が込められています。いじめや孤立に苦しむ人々に寄り添い、小さな声を聞き逃さず、支援の輪を広げていく。その積み重ねが社会の風土を変え、誰もが安心して生きられる未来をつくる力になるのです。副題「―いじめと自殺の連鎖を断ち切るために―」は、決して他人事ではなく、私たち一人ひとりが関わり、共に連鎖を止める担い手であることを示しています。この問題を直視し、語り合うことが、人類がより優しい存在へと成長する第一歩なのです。
国立精神・神経医療センター精神保健研究所の松本俊彦・薬物依存研究部部長(精神科医)は、全国の精神科医療施設で調査。10代の薬物乱用で、市販薬が多用されていることを明らかにした。 「危険ドラッグ規制以来、10代では特に、市販薬の乱用は増えました。(亡くなった2人が)死のうと思って飲んだとすれば、さらにいつもよりも多くの量を飲んだ可能性もありますね」 市販薬のODは、危険性を伴うことを指摘する。 「非合法薬物の成分が微量ですが、入っています。また、ほかの成分によって、肝臓や腎臓の機能が悪くなることも。大麻のODでは死ぬことはないですが、市販薬のODで死ぬことはありえます。さらにエナジードリンクやストロング系のチューハイを飲むことで体調悪化が拍車をかけます」 なんのために市販薬のODするのか。 「臨床経験でいえば、性被害や被虐待経験者が多いです。患者さんたちは『消えたい』『いなくなりたい』『死にたい』を紛らわせるために飲んでいます。日ごろから居場所がない子たちなのです」 家庭や学校に居場所がない若者たち。SNSで知り合った、悩みを抱える同年代の若者たちと友達になるために、トー横に集まっている。コロナ禍でもあり、さらに居場所がないと感じているのだろう。 もちろん、市販薬ODは危険を伴うだろう。ただし、若者たちが、トー横に集まらなくなったとしても、別の場所を探し、市販薬のODをするだけ。ODをしてしまう背景の解決にはつながらない。 こうした状況に、「警察の問題というよりも、福祉の問題です」と松本医師。前出の竹田さんも、「普通に見える子どもたちのSOSに気づいてほしい。大人は正論をかざすが、説教や経験を述べるのではなく、ただ、ひたすら若者たちの声に耳を傾けてほしいのです。悩みがあれば、一緒に解決策を探すことが大切」と、大人に忠告する。 “トー横キッズ”に見られる現状は、大人たちがサインを見逃した結果ともいえるのではないだろうか。 取材・文●渋井哲也(しぶい・てつや)●1969年生まれ。新聞記者を経てフリーに。若者のネット・コミュニケーションや学校問題、自殺などを取材。著書に『ルポ 平成ネット犯罪』(筑摩書房)、『学校が子どもを殺すとき』(論創社)ほか
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